2013年11月20日水曜日

ハロウィンには鬼が出る!~日本の行事との共通点~

今更ながらの話題だけど、今年のハロウィンは各地でわりと盛り上がっていたらしい。

少し前までは、
「日本ってハロウィン、そんなに盛り上がらないよね~」
なんて言われていたような気がするけど。


欧米では「子供の大晦日」なんて言われているハロウィンだけど、なんとなく、日本では大人主導で盛り上げられているような気がする。


今日は(今更ながら・・・)ハロウィンについて考えてみたい。


そもそも、ハロウィンとは何なのか。



あちこちでパンプキンヘッドが飾られ、「トリック・オア・トリート(お菓子をくれなきゃイタズラするよ)」と言って、魔女やお化けに仮装した子ども達がおやつをゲットする。

洋菓子店やショッピングモールは俄然、張り切る。イベントを企画して集客につなげようと躍起だ。


よく言われるのが、
「ハロウィンとは、日本でいうとお盆のようなもの」
という説明だけど、頷けるようでいて、やっぱりよくわからない。


では、ハロウィンとは何か。

ハロウィンは、ケルト文化やキリスト教、ローマの文化など、少なくとも3つ以上の文化が混合されてできたハイブリッドなものらしい。非常に古くから伝わる行事なのだが、アメリカにて「イベント」としてリニューアルされ、花開いた。

そもそもは古代ヨーロッパのケルト人による宗教行事に由来する。時代にして2000年以上さかのぼる。ケルトにはドルイド教という土着の信仰があった。多神教で、太陽や樹木など自然に神性を感じていたというので、日本の古い文化、特に縄文文化に似ているのかもしれない。ちなみにドルイド祭司の姿が、魔法使いのイメージの元となっているらしい。

ケルト文化における新年の始まりは11月1日。彼らはこの日を迎えるにあたり、その前日、つまり1年の終わりたる大晦日に、「サヴィン祭」という祝祭行事を行った。このサヴィンがハロウィンへとつながることになる。

サヴィン祭は収穫を祝う収穫祭であると同時に、死者の祭りという側面もあった。この日、死の神がその年に亡くなった人々を集め、生まれ変わり先を決めるとされていたらしい。そのため、死者が地上に集まってきて町をさまよい歩き、その時家族のもとを訪れる。そこには悪霊や精霊なども入り混じっているとされた。

ゆえに、今でもハロウィンの日は魑魅魍魎が跋扈するとされ、悪霊にイタズラされないように、正体がバレないようにということで仮装をすることに繋がる。イベント化する以前は、“お化けにコスプレ”するだけでなく、動物の皮をかぶったり、顔を黒くぬったり、男装女装する、といったこともしていたらしい。

このようなサヴィン祭に、やがてローマの収穫祭が融合する。果実の女神ポモナを讃えるこの収穫祭は11月1日に行われていた。更にはキリスト教も融合していく。7世紀にローマ教皇ボニファティウス4世が11月1日を諸聖人の日(万聖節)とし、その前夜祭として、やがてハロウィンは位置づけられるようになる。やがてアメリカにわたり、これまで使われることが多かったカブがカボチャにとって代わられ、現在のハロウィンの姿へと続いていくことになる。


さて、ここまでを見てみると、やっぱり日本の文化と対比してみたくなる。
今まで出てきたハロウィンのキーワードは、次のようなものだ。

・新年の前日
・収穫祭
・その年に亡くなった死者が家族のもとを訪れる
・同時に、魑魅魍魎が地上をうろつく
・仮装する

ここに日本の文化を比較してみる。

・新年の前日⇒大晦日、節分
・収穫祭⇒新嘗祭=勤労感謝の日(11/23)
・その年に亡くなった死者が家族のもとを訪れる⇒新盆、お盆、正月
・同時に、魑魅魍魎が地上をうろつく⇒お盆
・仮装する⇒???

まず、日本の古い暦では、新年は立春から。新年の前日たる大晦日に行われていたのが、節分、つまり追儺(ついな)、鬼やらいの儀式だ。そして亡くなった死者が家族と過ごす日といえば、お盆。そして、かつてはお正月もご先祖様と過ごすとされていた。また、お盆には「地獄の釜の蓋が開く」とされていて、それによって死者がやってくるとされている。死の世界との境界がなくなるという点において、ハロウィンと、とてもよく似ていると思う。


ということで、ハロウィンとは、日本でいうところの、盆と正月、そこに新嘗祭が合わさったような日だ、と言えるかもしれない。

が、しかし、これだと上であげたキーワードの1つ、“仮装する”が抜け落ちてしまう。ということで、思い当たる日本の行事が1つある。


それは、「節分お化け」だ。

これについてはよく分からない点が多いのだが、節分お化けとは、江戸時代から昭和初期にかけて、京都祇園、大阪北新地や東京吉原などの花柳界を中心に行われていた節分の行事だという。子供が大人の、大人が子供の格好をしたり、異性装をしたりして、普段と違う姿をすることで、節分の夜に出歩く鬼をやり過ごし、寺社へ詣でるのだという。


この異装の考え方は、ハロウィン=サヴィン祭の姿とよく似ていると思う。そして、節分はかつては大晦日に行われていたのだから、そのほかの点についても、考え方として共通点がとても多いと感じる。

節分お化けは民間行事から端を発するものであり、時代の流れとともに元のことがよくわからなくなってしまったのは残念だ。追儺は中国からやってきたものではあるが、日本に定着するその源流には、~サヴィンがローマ文化やキリスト教と融合していったように~日本独自の大晦日=節分の習俗があったはずだ。


もしかしたら本来の節分とは、こんなだったのかもしれない。

節分は、新年の前夜に行われる祭りであり、正月に家族と過ごすためにご先祖様(死者)が町をうろつく。そこには魑魅魍魎(鬼)が混じる。人々は異装し、闊歩する鬼をやり過ごし、神を詣でる。鬼が家に入らないよう豆をまき、その年無事に過ごせた事(収穫)に感謝をし(福は内)、ご先祖様とともに新年を過ごす。

ということで、このブログでは、次のように結論(仮)づける。

ハロウィンとは、日本の節分によく似た行事である。

節分には、ぜひとも頑張ってもらいたいものだ。外国由来のイベントに負けるな、節分!!

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